資金調達

【ラ・サール43期 大野vol.2】出資編:出資は不可逆的。親戚になるつもりで意思決定を!

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大野
出資編ということで、VCや事業会社から出資を受ける際に留意するべき事をいくつか列挙しました。

本日、VCの方も視聴者でいらっしゃるので、是非コメントいただけたらと思います。


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まず、
あなたがIPOすると儲かる人達と付き合っているという事を理解しないといけません。
IPOするべきか否かは私は大きな議論だと思っていまして、まさに、リクルートとかは50年IPOしていなかったわけです。そこから突然IPOしたわけなので、その間ずっとIPOするべきか否かという議論がありました。

 

本当にその会社にとってIPOするべきかどうかは、非常に大きな議論だと思います。
その議論をすっ飛ばして、今目の前のお金が欲しいために資金調達してしまう、その意思決定が危ういなと感じる時があります。

 

2つ目、資本業務提携。
これは、相手が事業会社の場合ですね。相手が望む事を、本当に自分達が提供できるのか?

特に環境が変わった場合、例えば、今みたいなコロナの時期など事業環境が変わった時に、特に大企業は掌を返してくる可能性があります。

バラ色の今ではなくて、困難な状況になったとしても、自分達は、この会社と付き合っていくべきなのかということも考えて意思決定した方が良いと思います。

 

3つ目、不可逆的。
借入と違って出資は不可逆的です。借入の場合は、気に入らなかったら返済すれば良いのです。

しかし、出資は、自分達が株主に株を売ってくれと言っても、相手が売らなかったら、関係を解消できません。つまり、引き続き株主として会社に残り続けるわけです。

親戚になるつもりで、と書かせていただきましたが、株を持ってもらうということは血の繋がりと思っていただくくらいで良いと思います。

 

 

4つ目、資本業務提携。
これも、事業会社を前提に言っていますが、しばしば排他的な取引を求めてくる可能性があります。

例えば、私がテレビ会社だったとして、どこかのベンチャー企業に出資する際に、テレビ関係は、うちとだけ付き合って他社とは付き合わないでくれといった事を言ってきます。
それは暗に言ってくることもあれば、明示的に言ってくることもあります。

今この瞬間は、そのテレビ会社だけで良いと思ったとしても、3年後4年後とか先のことは分からないので、そこは事業運営上の障壁になるかどうか、未来まで見据えた上で意思決定した方が良いと思います。

 

八尾
ここまで、ありがとうございます。
一番私が気になったのが、排他的かどうかという点です。

これは非常に難しいと思っていまして、誰しもが排他的でない契約をしたいはずではありますが、相手とのパワーバランス的に、その条件をどうやって交渉するか、期間限定で排他的にするなど、部分的には呑むのかといった線引きがあったりしますでしょうか?

 

大野
それは確かにシビアな交渉だと思います。
やはり出資する側は、排他的な関係を獲得したくて出資してくる面もあるわけですから、排他的な契約を全部排除するのは困難かもしれません。


ただ、ある程度は、数年後にどのように成長しているかを見据えて、今このリスクは取りますよ、このリスクは取らずに押し返しますよ、という細かい議論をしっかりしてから交渉するべきだと思います。

そうでないと、想定外のことが起きた時に取り返しがつかないですので、ここは経営者の腕の見せ所だと思います。

 

八尾
5年先のチャンスを想定してリスクを取るというのは、難しいところですね。 


大野
そうですね。

八尾
視聴者からも質問が来ていますので、聞いてみましょう。

 

視聴者1
事業会社からの出資ですと、必ずしもIPOだけがゴールではないと思っているのですが、例えば事業シナジーでこれだけの売上増が見込めれば、極端な話、身の丈以上のバリュエーションをつけて出資を受けるということも話としてはあるのかな?でもそれはそれでリスキーかな?などと考えていました。

VCではなくて、事業会社からの出資検討する際に何をトリガーに考えたら良いのでしょうか?
私が所属している会社が、丁度、まさに、資金調達を考えている時期でしたので質問させていただきました。

 

大野
事業会社から出資を受けるケースは、事業会社との付き合い方によって、いくつかパターンがあると思います。

1つは、ベンダーなど自分達に物を売っている会社ですね。
これは、もう公知なので話しますが、リクルートのときは、大日本印刷や凸版印刷にリクルートの株を持ってもらっていました。

というのは、リクルートが彼らの大口顧客だからですね。

あとは、リクナビやじゃらんnetなどのシステムは、新日鉄ソリューションズやNTTデータなどのベンダーが作っているので、リクルートは彼らに多くの金額を払っていました。よって、そういったベンダーにも株を持ってもらっていました。

それは、彼らから見たら、営業の手段として株を持つのです。このパターンが1つ。


後、もう1つは、協業しましょうというパターンですね。

後者は、リクルートの場合は、これも公知なので話しますが、三井物産や電通、テレビ局などでした。
つまり、リクルートと共同でjoint ventureなどの協業をしましょう、資本業務提携しましょうという事で資金を出すパターンがあります。

 

前者の場合は、本業の取引、つまり、印刷とシステム開発とか、本来であれば競争をさせて、一番安くてクオリティの高い会社と組みたいのに、株を持っているので、この印刷会社と取引をしないといけない、このベンダーと取引をしないといけないといった制約があります。
まぁ、でも、そこは株を持ってもらうので、しょうがないという部分もあります。


一方で、後者の場合は、これもうまくいかない場合があります。
向こうは向こうで下心があるわけですよ。リクルートと組んでこんな事をやりたい、だって、うちはこれだけのお金を投資しているのだからと思っています。

ただ、一方でリクルートの事業部はそんな事を念頭に置いてビジネスをやるわけではないので、話が前に進まないということがあり得ます。

というわけで、良いことばかりではないよということです。

 

視聴者1
ありがとうございます。事業会社と組む際にもリスクもあって、それをどれだけ判断できるかということですね。

 

大野
お勤めの会社がどれだけ競争力を持っているかにもよるかが交渉力に比例すると思います。
リクルートくらいの規模があったので、NTTデータや大日本印刷など、名だたる大企業に株を持ってもらうということができました。

 

視聴者1
ありがとうございます。
それでは、資金調達に関しては、ここまでにして、次は人脈について話をしたいと思います。

 

【ラサール43期 大野vol.3】人脈編:過去所属していたコミュニティに光を当ててみる に続く。

 

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