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【ラ・サール55期 福澤Vol.3】SkyDriveが描く2030年のモビリティ

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福澤

事業ケースは様々なパターンが考えられます。

例えば、観覧車は1つ15億円程度するのですが、そうすると、3000万円で空飛ぶクルマをいぱい飛ばすというのもエンターテインメントとして面白いです。

ドクターヘリも年間2億円するので、空飛ぶクルマにすると1/10程度にコストが下がるので、そうした活用方法もあります。

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このように様々な可能性があるのですが、最初は安全性を考えて、海の上を飛ぶと万が一の時もゆっくり海の上に着陸できますので、安全を確保して同じ場所を往復するというタクシービジネスからスタートすることを考えています。

特に大阪ですと、UFJ、海遊館、万博会場あたりは、年間平均して1000万人程度人がきます。それにもかかわらず、公共交通機関があまりなく、電車ですと20分30分かかります。

ただ、空を飛ぶと5分で到着できますので時間が1/5程度になります。
早く、楽しく、かつ、距離が短いので最初の取り組みとしてやりやすいという観点で、この辺りからスタートしたいと考えていまして、ちょうど明後日、大阪知事とキックオフ会を行う予定です。

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直近はシリーズBラウンドが終わり、累計で51億円程度資金調達しました。

ただ、私達は機体メーカーなので機体しか作れないのですね。充電や運行管理、リースの部分などに関しては、様々な企業と一緒に取り組んでいます。
あとは、日本政策投資銀行様が、政府との窓口や海外との渉外を担当していただいたりして、座組みを組んでいます。

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制度の話は結構問題でして、空飛ぶクルマは航空機という位置付けになるので、国土交通省の航空局の管轄の航空法に準拠する必要があります。

菅総理が、官房長官時代に、2年前に発足された官民協議会というのがあり、ANA、JALさんのような航空業界の起業が民間側、国土交通省・経産省が管側で、機体の認証と免許制度と離発着場の3つのルールを明確にしようという話をしています。それで、2023年に事業開始というのが、成長戦略にも入っています。

現在ルールの叩き台が出てきていて、ブラシュアップして来年の頭くらいから認証開始に、さしかかれるようになると思います。

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もう1つ、空飛ぶクルマの無人版である、産業用のカーゴドローン事業もやっています。

山間部で30kg程度の荷物を手で運んでいるという状況がたくさんあるので、カーゴドローンを使って大きな物を安全に飛ばしています。

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一般的なドローンですと5kgくらいしか運べないので、カメラを載せるパターンが多いのですが、私達は荷物を運ぼうとしています。

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こちらはすでに販売開始しています。自動運転で2点間を飛んでいくという感じで、飛行中は人は何も操作する必要がありません。


例えば、鉄塔のペンキ塗りが、日本で年間3000本くらいあるんですね。そして、ペンキを塗るために、山間部をペンキ缶を持って人が歩いて運んでいます。1缶20kgあって、30往復して30缶運んだりすることがあります。
それはとても危険ですし、大変です。また、労働力不足の問題もありますので、ドローンを飛ばせば非常に早くて安全だよね、コストパフォーマンスも合うよねということで事業化が進んでいます。

最初は、こうした山間部からスタートしていって、徐々に都会の物流へ展開していき、UberEatsもこれで運ぶという流れになっていくと思います。

 


一方で、空飛ぶクルマに関しては、コスパありきではなかったりします。

車で移動する場合でも、コスパだけでいくと、原チャリが一番コスパが良いんですね。
普通の乗用車と比較しますと、原チャリですとコストは1/10ですし、燃費は2倍です。

しかし、それで誰もコスパの良い原チャリを選んでいないです。やはり、快適性や安全性という観点が加わると、必ずしもコスパではなくなるんですね。

 

産業用のカーゴドローンの話に戻りますが、そうして、山間部からスタートして色々なところで飛ばすことで、空のデータを集めて、有人機に反映するというループを回していきたいと思っています。まずは産業用の方でキャッシュを生みつつ、コア技術は有人機とシェアをして、ループを回す感じですね。

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2020年に無人機が販売開始して、有人機が2023年度に販売開始という方向で進んでいく予定です。

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こちらが、2030年に目指す、空飛ぶクルマのイメージです。

鎌倉から六本木に空飛ぶクルマで通勤する際に、渋滞していたので空で飛んでいったという動画です。

 


このような形で、私達は、新しいモビリティで生活や移動を豊かにしたいと思っています。

人生を考えると、三輪車から始まって、自転車、車、飛行機となるたびに、行ける場所が増えて、会える人も増え、体験できるものも増え、人生観も変わっていき、どんどん豊かになっていきました。

 

それは、人類の歴史も同じで、蒸気機関が発明されて、船で香辛料を買いに行けて、今は飛行機でどこでも海外に行けますという感じです。
それと同じように、例えば都内で車で移動すると、信号や渋滞で平均30km/hのところを、空飛ぶクルマで直線距離で100km移動できるだけで5倍くらいのスピードになります。

ですので、今まで諦めていた場所に行けるようになる、もしくは、行っている間も空で楽しいとなり、より豊かな生活が実現できることを目指しています。

 

あと、日本のハードウェアスタートアップは、大企業には極めて優秀なエンジニアがいるのですが、スタートアップに全然来ないです。それは、スタートアップに本当にいいところが少ないからというのもありますし、スタートアップ本当に成功するのだろうか?という理由もあります。

そこで、私達がしっかり空飛ぶクルマを成功させることで、大企業とスタートアップの間の循環を起こして、現在米中あたりがハードウェアスタートアップが多いですが、日本もコアポテンシャルがある人はいるので、日本のものづくり産業を活性化させていきたいと考えています。

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【ラ・サール55期 福澤Vol.4】SkyDriveのハードシングス。本当にできるのかと周囲から指摘された過去 に続く。

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